2026年7月17日に文化審議会の答申が行われ、能扇製作が新たに選定保存技術に選定された。また、同時に福井芳宏氏(十松屋福井扇舗12代目社長)が会長を務める能扇製作技術保存会が保存団体として認定された。
文化審議会は「現在、能扇製作の技術者は極めて少なくなっており、能楽の伝承を支える上で、能扇の製作技術の保存は急務であることから、保存の措置を講ずる必要がある」としている。
Noh+ では田村民子氏の連載「能楽を支えるモノと技」で十松屋福井扇舗を取り上げ、材料となる竹が入手困難になっていることや扇製作の技術について詳細に取材している。
能扇製作技術保存会は「決められた形状に扇骨を作る技術、和紙を貼り重ねて地紙を作り、箔押しや上絵を施し、折り加工を行う技術、扇骨と地紙を合わせて仕上げる技術を保持する技術者らと、各工程を総合的に監修する者で構成される。同会は、能扇製作技術の継承と向上を主たる目的として、技術者養成のための研修の実施、製作に適した材料の確保やそれに必要な調査研究、製作に関する資料の収集及び記録の作成等を主たる事業としている。当該技術の保存継承のための事業を実施するにあたりふさわしい団体である」として、今回の認定を受けた。
福井氏はこのたびの選定にあたり、「今回の認定は『スタートライン』に立ったと思い、これから取り組む事業を通じ、しっかりと将来へ続く製作体制を整えることが重要だと思っております」とコメントしている。

選定保存技術とは、現在まで保存・継承されてきた文化財を後世に伝えていくため、文化庁が文化財の修理技術やそれに用いられる材料および道具の製作技術などを選定保存技術として選定し、その技を保持している個人または技の保存事業を行なう団体をそれぞれ保持者および保存団体として認定することによって、その保存を図るもの。
なお、能楽関連ではすでに選定保存技術として、1976年(昭和51)「能楽大鼓(革)製作」、1995年(平成7)「能楽小鼓(胴・革)製作修理」、2020年に「能装束製作」が選定されている。