渋谷区立松濤美術館『杉本博司 本歌取り 東下り』展

写真家、美術作家の杉本博司氏の展示『杉本博司 本歌取り 東下り』が渋谷区立松濤美術館で11月12日(日)まで開催されている。

「本歌取り」とは、古歌(本歌)の一部を取り入れ、そのうえに新たな時代精神やオリジナリティを加味して作る和歌の作成技法である。杉本氏はこれを日本文化の本質的営みと捉え、自身の作品制作に援用している。このコンセプトのもと、『本歌取り』展として昨年、姫路市立美術館で作品を集結。今回は東京で新たな展開を迎えることから展示名が『本歌取り 東下り』と題される。

杉本博司 《富士山図屏風》 2023年 ピグメント・プリント 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto

葛飾北斎の《冨嶽三十六景 凱風快晴》を本歌とした、初公開作品となる杉本氏の新作《富士山図屏風》や、中国宋時代の画家・牧𧮾の水墨画技法を本歌とした《カリフォルニア・コンドル》のほか、これまで公開される機会が少なかった室町時代の《法師物語絵巻》、南北朝時代の《古作面 児屋根命(こやねのみこと)》などが展示される。

《法師物語絵巻》(部分) 15世紀 紙本着色 小田原文化財団蔵 ©Hiroshi Sugimoto
「杉本博司 本歌取り 東下り」展(渋谷区立松濤美術館)展示風景 ©Sugimoto Studio

杉本博司 本歌取り 東下り
会場:渋谷区立松濤美術館
会期:2023年9月16日(土)〜11月12日(日)
前期:9月16日(土)〜10月15日(日)
後期:10月17日(火)〜11月12日(日)
休館日:月曜日(10/9は開館)、10月10日(火)
開館時間:10時〜18時(入館は17時半まで)※毎週金曜日は20時まで(入館は19時半まで)
入館料:一般1,000円(800円)、大学生800円(640円)、高校生・60歳以上500円(400円)、小中学生100円(80円)
※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料。
※毎週金曜日は渋谷区民無料
※土・日・祝日は小中学生無料
※障がい者および付添の方1名は無料
※リピーター割引有り

10月29日(日)には、杉本博司氏の記念講演会が開かれ(受付終了)、10月14日(土)、10月22日(日)には学芸員によるギャラリートークがある。

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また、関連企画として、『杉本狂言 本歌取り』が開催される。美術館展示で、全場面を一挙公開する『法師物語絵巻』第七場面「死に薬」を狂言『附子』の本歌と捉えて上演する。また、『茸』では杉本氏がデザインを担当した、毒キノコをあしらったデザインの笠が使用される。※本公演のチケットはすでに完売となっている。

『杉本狂言 本歌取り』
日時:2023年11月9日(木)19時開演
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
演目:解説 杉本博司
   狂言『法師物語絵巻 死に薬〜「附子」より』 野村万作、中村修一、野村裕基
   狂言『茸』 深田博治、石田幸雄、野村太一郎ほか
企画・構成:杉本博司
出演:野村万作、野村裕基、ほか万作の会
主催:公益財団法人小田原文化財団
共催:渋谷区
後援:公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団

※読者プレゼント
松濤美術館展覧会展示の招待券を、10名様にプレゼントします。
ご希望の方は、本サイトの「お問い合わせ」フォームより、題名に「読者プレゼント希望(本歌取り)」と書いてご連絡ください。一人2枚までご応募可能。必要な方は「2枚希望」とお書き添えください。
締切は10月10日まで。