全体の謡い方としては三番目の情調というだけに止めておくが、ツレが特に変わっているから一言すると、最初のうちはただの菜摘み女だから軽く謡うが、冒頭では早春の吉野山の景情をさながらに表現しなければならぬ。シテとの問答は、いわばワキの代役であるが、どこまでも若い女のツレということを忘れずに、しかもシテとの対照がよいように謡う。静の霊が乗り移ってシテの位に変わるところは、耳立たぬように留意しながらキッパリと謡い口を変える。シテとの同吟になってからも、シテは夢幻人、ツレは現在人に霊が乗り移ったものという心持ちで謡えればおもしろいが、一般的にはよくシテと合うように謡いなさいという言うほかない。
