曲の解釈と謡い方【三、三番目物】(9)

全体の謡い方としては三番目の情調(じょうちょう)というだけに止めておくが、ツレが特に変わっているから一言(いちごん)すると、最初のうちはただの菜摘み女だから軽く謡うが、冒頭では早春の吉野山(よしのやま)の景情(けいじょう)をさながらに表現しなければならぬ。シテとの問答(もんどう)は、いわばワキの代役であるが、どこまでも若い女のツレということを忘れずに、しかもシテとの対照がよいように謡う。静の霊が乗り移ってシテの位(くらい)に変わるところは、耳立(みみだ)たぬように留意(りゅうい)しながらキッパリと謡い口を変える。シテとの同吟(どうぎん)になってからも、シテは夢幻人、ツレは現在人に霊が乗り移ったものという心持ちで謡えればおもしろいが、一般的にはよくシテと合うように謡いなさいという言うほかない。