令和4年度の文化庁芸術祭受賞者が発表され、萬狂言(よろずきょうげん)の「祖先祭 初世野村万蔵生誕三〇〇年」公演(2022年10月16日 国立能楽堂)が演劇部門の大賞に選ばれた。
同公演は初世野村万蔵生誕300年を記念し、観世流、喜多流、宝生流各宗家や大蔵流の狂言方もゲストとして出演。「翁」の中で特別な慶事の時に演じられる「風流(ふりゅう)」のうち、萬師が1984年に復曲した「父之尉風流(ちちのじょうふりゅう)」を、万蔵師が今回の祖先祭のための演出を施して上演された(写真提供/萬狂言)。
受賞理由は「多彩なゲストとともに野村万蔵家一門(萬狂言)が総力を結集した本公演は、翁と狂言風流、定評ある古典的名作、独り狂言、賑やかな大勢物と多彩な演目を取り揃えて観客を大いに楽しませた。なかでも九世万蔵新演出による「千々尉風流萬之式(ちちのじょうふりゅうよろずのしき)」は万蔵家由来の酒をテーマとした遊び心が溢れていた。ベテラン、中堅、若手と役者陣も充実し、過去から現在に至る歩みを振り返ると同時に、豊かな未来への期待が高まった」としている。
文化庁芸術祭は、広く一般に優れた芸術の鑑賞の機会を提供するとともに、芸術の創造とその発展を図り、日本の芸術文化振興を目的として昭和21年以来毎年秋に開催されている。
なお、文化庁によると参加公演・参加作品の募集および贈賞は今年度で終了とし、来年度(令和5年度)以降は、優れた芸術文化活動を行う個人を顕彰する制度をより充実させる方向で検討する、とのこと。
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