① 大小序ノ舞の女性夢幻曲
〈東北、井筒、野宮、半蔀、夕顔、仏原、采女、楊貴妃、二人静、江口、定家、芭蕉、源氏供養(身延、梅)〉
〈半蔀〉
源氏物語の夕顔の上を主人公とした曲に〈半蔀〉と〈夕顔〉がある。夕顔という人は源氏の女性の中でも殊に哀れが深い。垣根に咲く夕顔の花が媒だちとなって源氏の君と契ったのも暫しの夢で、源氏とともに何某の院という古寺に宿った一夜、物の怪のために僅か十九才の花の命を散らしたという、まことに短い美しい恋のヒロインである。夕顔という曲はその運命の哀れさが主題となっているが、本曲では花が取り持った不思議な縁しの楽しさが趣の深い筆致で描かれている。すぐれた小品的作品である。

夏の夕つ方、立花供養をする僧の前に、ほの白い花の姿そのままの女が模糊として現れたかと思うと、また忽ちにして立花の陰に消え失せるという、夢幻神秘な前場である。それは夕顔の花の精のごとくにして、実はワキ僧を五条あたりに導いて行く夕顔の上の霊であった。
