曲の解釈と謡い方【三、三番目物】(7)

① 大小序ノ舞の女性夢幻曲
〈東北、井筒、野宮、半蔀、夕顔、仏原、采女、楊貴妃、二人静、江口、定家、芭蕉、源氏供養(身延、梅)〉

〈半蔀〉

源氏物語の夕顔(ゆうがお)(うえ)を主人公とした曲に〈半蔀(はじとみ)〉と〈夕顔(ゆうがお)〉がある。夕顔という人は源氏の女性の中でも(こと)(あわ)れが深い。垣根(かきね)に咲く夕顔の花が(なか)だちとなって源氏の君と(ちぎ)ったのも(しば)しの夢で、源氏とともに何某(なにがし)の院という古寺に宿った一夜、(もの)()のために(わず)か十九才の花の命を散らしたという、まことに短い美しい恋のヒロインである。夕顔という曲はその運命の哀れさが主題となっているが、本曲では花が取り持った不思議な(えに)しの楽しさが(おもむき)の深い筆致(ひっち)で描かれている。すぐれた小品的作品である。

夏の夕つ方、立花(りっか)供養(くよう)をする僧の前に、ほの白い花の姿そのままの女が模糊(もこ)として現れたかと思うと、また(たちま)ちにして立花の陰に消え失せるという、夢幻(むげん)神秘(しんぴ)な前場である。それは夕顔の花の精のごとくにして、実はワキ僧を五条あたりに導いて行く夕顔の上の霊であった。