曲の解釈と謡い方【三、三番目物】(7)

後場はその五条あたりの夕顔の宿の古跡であって、半蔀屋(はじとみや)(つく)(もの)が取り設けられ、まずその中からシテのいとも優雅な声調(せいちょう)が流れ出すのであるが、ロンギの終わりで半蔀が押し上げられて白地の長絹(ちょうけん)緋大口(ひのおおくち)という(きよ)らに濃艶(のうえん)な姿を現わす。幽玄(ゆうげん)無類(むるい)風情(ふぜい)である。

[クセ]では、夕顔の宿が町の中にある小家で、隣家から行者たちの朝の勤行(ごんぎょう)が聞こえてくる光景から、源氏が初めてこの宿で夕顔の花を見染(みそ)めた折のことなど、他の女性曲では見られぬ庶民(しょみん)的で(ひな)びた(おもむき)が描かれているのが非常によい。舞のあと、東雲(しののめ)の空が明けやらぬうちに再びもとの半蔀屋に消えて行くまで、いかにも清い三番目物だと思う。