国立能楽堂が2012年より行なう、作品の演出や解釈を新たな視点でとらえるシリーズ〈能を再発見する〉として、今回は観世流の『賀茂物狂』が復曲される。
現在、同曲は、宝生・金剛・喜多の三流で現行曲となっているが、各流とも女に明神の信託が下る前場を省略した改訂版。今回の観世流による復曲は、前場を加え原形を復元した完全版での上演となる。
『賀茂物狂』は上賀茂神社を舞台に繰り広げられる大人の恋の物語(女・狂女:観世清和、都人:福王茂十郎)。そこに多くの趣向が凝らされているのが見どころで、金春禅竹の作と推定されている。
男女が再会する後半は蘭曲(らんぎょく。謡い物)としても伝わっており、聞きどころも多い名作である(地謡:梅若桜雪ほか)。
公演は7月28日(木)、30日(土)13時開演 国立能楽堂
また、7月4日(月)14時からは、上演にあたっての特別公開講座が開催される。
第一部 基調講演 天野文雄
第二部 仕舞「賀茂物狂」観世清和
第三部 座談会 観世清和(二十六世観世宗家) 田中安比呂(賀茂別雷神社宮司) 天野文雄(京都芸術大学舞台芸術センター特別教授) 司会 横山太郎(立教大学教授)
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なお、公演当日『賀茂物狂』の謡本をロビーにて販売。詳しくはこちら。