国立能楽堂企画展「小道具から見る能」

国立能楽堂の令和3年度企画展「小道具から見る能」が、国立能楽堂資料展示室で開催されている(12月23日まで、開室時間午前11時~午後5時、月曜休室、入場無料)。

観世宗家、金春宗家、宝生宗家所蔵の貴重な小道具をはじめ、法政大学能楽研究所蔵の古文書、国立能楽堂蔵を含め、120点もの小道具、文献、絵画から、能の再発見につながる展示内容となっている。監修は、国立能楽堂公演プログラムに「能楽講座・小道具」を連載中の小田幸子氏。

能〈舎利〉で用いられる「舎利塔」(観世宗家蔵)、〈翁〉における翁面箱「松竹梅蒔絵面箱」(宝生会蔵)、能〈黒塚(安達原)〉で使われる「枠枷輪」(金春円満井会蔵)など、日頃客席からでははっきり見えない多数の道具類の実物を、間近に見ることができる。思っていたより大きく感じる方もいるのではないだろうか。「能作物図」(法政大学能楽研究所蔵)や「観世流作リ物」(檜書店蔵)などの資料では、小道具や作り物が色入りで詳細に描かれたり、寸法や注記もあり興味深い。国立能楽堂蔵の扇(中啓)40本ほどが、壁一面に飾られているのも圧巻で、観世、金春、宝生各流派蔵のものとあわせて、絵柄を詳しく見ることができる。

監修の小田氏は、展示図録に基調論文「小道具から見る能」も執筆しており、展示の見どころをNoh+に次のように語っている。
「小道具に焦点を当てた初めての本格的展示であり、小道具の造形や用法について考えるきっかけにしてほしいというのが意図です。どれもが舞台で見ていた時とは違う表情を見せるのも魅力的で、びっくりするほど大きい長刀やサラエや杉箒、竹を切って曲げたただけのシンプルな弓がある一方で、精緻な造りの太刀がある。なかでも扇の紋様は、小さな空間に贅を凝らした圧倒的な美しさです。
舞台を見る際には小道具の使い方に是非注目してください。」


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https://www.ntj.jac.go.jp/nou/event/2305.html