第43回松尾芸能賞が2月14日に発表され、能楽界から狂言方和泉流の野村萬斎師が大賞に選ばれた。松尾芸能賞は「日本の伝統ある劇場芸能を振興し、もって我が国独自の文化、芸能の保存及び向上に寄与することを目的とし、各種演劇演技・舞台音楽・舞台施設・劇場演出・伝統芸能・民俗芸能・歌謡芸能・大衆芸能等、芸能界各種部門にて貴重な実績を残し、或いは将来を期待される個人又は団体を表彰」するもの。
萬斎師の受賞理由は「狂言師としての活動はもとより、2002年から20年間に亘り世田谷パブリックシアターの芸術監督として現代劇のほか「MANSAI◎解体新書」「現代能楽集」「狂言劇場」など多くの優れた企画を立てて上演し、古典芸能と現代演劇の融合と発展に大きな功績を残した。テレビの子供番組やドラマ、映画でも活躍し、狂言を軸として各ジャンルにまたがる幅広い業績は他に例がなく素晴らしいものがある」とある。
第43回ではこのほか、優秀賞は菊原光治氏(邦楽)、春風亭小朝氏(落語)、シルビア・グラブ氏(演劇)、尾上菊之丞氏(舞踊)、新人賞は坂東巳之助氏(演劇)、特別賞は伊東四朗氏(演劇)、功労賞は坂東竹三郎氏(演劇)がそれぞれ受賞した。
能楽界からは、これまで、大賞に野村萬師(第40回)、優秀賞に野村万作師(第11回)、梅若実師(三世、受賞時は六郎。第16回)、大槻文藏師(第17回)、茂山千之丞師(二世。第19回)、関根祥人師(第26回)、藤田六郎兵衛師(第39回)、特別賞に「能劇の座(代表・堂本正樹氏)」(第21回)、野村又三郎師(十二世。第25回)、新人賞に野村又三郎師(十三世、受賞時は小三郎。第18回)、宝生和英師(第40回)、功労賞に山崎有一郎氏(第28回)、富山禮子師(第37回)が選ばれている。
公益財団法人松尾芸能振興財団は、昭和54年、松尾國三氏が私財を投じて設立。翌55年より毎年、松尾芸能賞を選考、実施をしている。現在の理事長は松尾國之氏。