文化審議会は7月22日に、新しく5人を重要無形文化財保持者(各個認定/人間国宝)に認定するよう文部科学大臣に答申した。そのうち、能シテ方で、宝生流の大坪喜美雄(おおつぼ きみお)師が認定された。
大坪喜美雄(本名 近司・きんじ)師は1947年(昭和22年)5月30日、東京に生まれる。1959年(昭和34年)に宝生英雄師(後の18世宝生宗家)に師事。翌1960年に「鞍馬天狗」の子方(花見)で初舞台。1964年(昭和39年)に大坪十喜雄(おおつぼ ときお)師の養嗣子となり、当時の宝生宗家17世宝生九郎師にも師事。1971年(昭和46年)「胡蝶」の初シテ以降、「石橋」「道成寺」などを披く。近年では2017年(平成29年)に「鸚鵡小町」、2019年に「卒都婆小町」を披き、流儀の重要曲を勤めた。
1991年、重要無形文化財保持者(総合認定)、2011年、観世寿夫記念法政大学能楽賞受賞。
文化庁によると「伝統的なシテ方宝生流の技法を高度に体現し、地謡や後見での力量も含め評価が高く、現在の宝生流を代表する能楽師の一人として重要な位置を占めている。また、後進の指導・育成にも尽力している」。
能シテ方の重要無形文化財保持者(各個認定)は、喜多流の友枝昭世師、梅若桜雪師、大槻文藏師の三名だったが、今回の大坪師の追加認定で四名となった。