【展示情報】根津美術館 企画展「蔵出し蒔絵コレクション」

根津美術館では、10月16日(日)まで「蔵出し蒔絵コレクション」が開催中である。

蒔絵とは、漆で模様を描いて、その漆が硬化しないうちに金や銀の金属粉を蒔(ま)き付けて装飾する技法。硯箱などの文房具や仏具、香道具、また盃、重箱などの飲食器、印籠を代表とする装身具や楽器と、幅広い漆工品に用いられる。

今展示では、初代・根津嘉一郎氏(1860~1940)の蒔絵コレクションのうち、重要文化財4件を含む約70点もの作品が展示されている。

能に関係するものでは、「謡寄蒔絵提重(うたいよせまきえさげじゅう)」がある。提重とは、重箱、皿、盃などを携行できるように、持ち手のついた外枠の中におさめたもの。これに「石橋」や「小鍛冶」など謡曲を題材にした扇面や団扇の図が、蒔絵で施されている。

謡寄蒔絵提重 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵

根津美術館は、銕仙会能楽研修所にもほど近い港区南青山にあるが、ゆったりとした展示室、講堂、ミュージアムショップがある建物のほか、茶室が点在する日本庭園があり、四季折々の自然を楽しむことができる。カフェも併設。詳細はこちら

同時開催展は「陶片から学ぶ─日本陶磁編─」、「清秋の一服」。