「能楽大鼓(革)製作」は、1976年(昭和51)5月4日に選定保存技術に選定されたが、 2022年(令和4)10月22日、保持者の逝去により選定が解除された。今回、改めて選定するとともに、木村泰史氏をその保持者として認定するものである(7月18日、文化審議会の答申)。
選定保存技術とは、現在まで保存・継承されてきた文化財を後世に伝えていくため、文化庁が文化財の修理技術やそれに用いられる材料および道具の製作技術などを選定保存技術として選定し、その技を保持している個人または技の保存事業を行なう団体をそれぞれ保持者および保存団体として認定することによって、その保存を図るもの。
能楽大鼓は、笛、小鼓、太鼓とともに能楽の囃子を構成する楽器の1つである。 能楽大鼓の革は、馬皮を鉄製の輪に張って縫い留めたもので、製作には、原皮の質を見極め、革の張り加減を調整する熟練した技術が求められる。
革は演奏前に火で焙じるため、消耗が甚だしく、定期的に新調する必要がある。 その一方で、能楽実演家の減少により需要が低下していることから、革製作の後継者の育成が難しく、技術の継承が危ぶまれるため、早急に保護の措置を講ずる必要 がある。
木村氏は、1976年(昭和51)に選定保存技術「能楽大鼓(革)製作」として認定され、2022年(令和4)に亡くなった木村幸彦氏の次男。