根津美術館では、8月20日(日)まで「物語る絵画 涅槃図・源氏絵・舞の本…」が開催中である。
『源氏物語』や『平家物語』などの物語は、成立後ほどなくして絵画化がはじまったと考えられている。冊子の挿絵から絵巻物や画帖、やがて掛軸や屏風など大画面にも描かれた。本展では、仏教説話、幸若舞(こうわかまい)や御伽草子(おとぎぞうし)なども含め、絵画化されたさまざまな物語を味わうことができる。能もそうした物語の一つとされているので、関連した作品が多く、大変楽しめる内容だ。
本展(展示室1・2)は、「神仏と高僧のものがたり」「源氏絵と平家絵」「御伽草子と能・幸若舞の絵画」の3つに分かれている。
「源氏絵と平家絵」では、平家物語の120場面の美しい扇面画が張り込まれた「平家物語画帖」、源氏物語の複数の場面を組み合わせて描く「源氏物語図屏風」、ポスター・チラシにも使われている「浮舟図屏風」などが目を引く。
「御伽草子と能・幸若舞の絵画」では、平家物語の祇王と能〈卒都婆小町〉の場面を対置して描く「祇王・卒塔婆小町図屏風」と、幸若舞の台本を読み物とした「舞の本絵本断簡〈張良〉」は、初公開の作品。また「妖怪退治図屏風」は、能〈田村〉で語られる田村丸の鬼退治の場面であることが最近判明したという。
同時開催テーマ展の一つに、「物語で楽しむ能面」(展示室5)があり、〈邯鄲〉〈道成寺〉〈羽衣〉〈敦盛〉〈殺生石〉を紹介。これらの物語にあわせ、「般若」などの能面や能装束が、舞台をイメージできるように展示されている。銕仙会蔵の「鳳凰天冠」「中啓 修羅扇」の特別展示もある。
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