【インタビュー】国立能楽堂の研修生に取材しました

令和5年6月13日、第31回能楽研修発表会・青翔会(せいしょうかい)が国立能楽堂で行われました。

青翔会は、国立能楽堂能楽(三役)研修生をはじめとする若手能楽師の技能研鑽のための公演で、年に3回開催されています。次代を担う若手能楽師が、日頃の稽古の成果を披露する場です。

青翔会は、平日の昼公演にもかかわらず毎回ほぼ完売している大人気公演。研修生や若い能楽師を支えたいというお客様が大勢いらっしゃるからでしょう。

青翔会で舞台に立った、10期修了者、研修中の11期生、また今年4月から研修をはじめたばかりの12期生に、おはなしを伺いました。

10期生 平野史夏さん(ひらのふみか・笛方藤田流)※今年3月に研修を修了、能楽協会会員

研修中は本当に恵まれた環境だったと改めて思います。今は自分でやらなければならないことが増え、舞台のお仕事もいただき、責任を感じることが多いです。これからは普段のお稽古に加え、より実践の場で先輩方から学んでいかねばと思います。笛方として信頼していただけるよう、引き続き精進して参ります。

10期生 寺澤祐佳里さん(てらさわゆかり・小鼓方幸清流)※今年3月に研修を修了、能楽協会会員

お客様がいる青翔会の舞台はもちろん緊張しますが、研修中は先生方だけがご覧になる稽古会も緊張しました。大学生のときに仕舞と謡、小鼓を習っており、研修生に応募したのは社会人を経験してからです。研修中は教えていただくことを学んで覚えてという感じでしたが、修了した今はもう受け身ではいけないと痛感しています。小鼓方の一人として、頑張っていきます。(寺澤さんは11月12日観世九皐会定例会・第一部の能「船橋」に出演予定です。)

11期生 鈴木麻里さん(すずきまり・笛方森田流)※研修中

4年目に入り、先生(杉市和師)の後見に入る機会をいただけるようになりました。先生のお笛はすばらしいのに、録音して聞き直す自分の笛はなんて拙いのだろうと思います。笛のアシライをいかに吹くかが、他の囃子方のみなさんと調和する一番大事なポイントかなと思っており、もっと曲趣をつかんでいきたいと思います。笛方は肺活量が必要なのですが、身体を鍛えたり自分の体格に合った努力をしたいです。

11期生 木村直樹さん(きむらなおき・狂言方大蔵流)※研修中

和歌山県出身ですが、授業で能を学ぶ機会がありました。能楽師の先生のレクチャーを受けて、いいなと思い、研修生に応募しました。入る前は何も知りませんでしたし最初は不安だらけでしたが、演じることが好きで、研修を受けているうちに狂言の道に進みたいと決めました。青翔会は、先生(大藏彌太郎師)にも楽しんで、とおっしゃっていただいていて、今は緊張に負けずに舞台に立っています。

11期生 渡部葵さん(わたべあおい・ワキ方宝生流)※研修中、能楽協会会員

6月の青翔会で初めて本ワキを勤めて、勉強になりました。お客様に伝えるというようなことまではとてもできず…、とにかく先生(宝生欣哉師)に教えていただいた通りにやることを心掛けました。地謡に渡すときの注意などを受け、舞台でやることの難しさを実感しました。研修修了まであと2年ですが、先生からきちんと学んで、貴重な時間を逃さないようにしたいと思っています。

12期生 3名(2023年4月より研修生)

・大学の授業で能を見て、興味を持ちました。実際の舞台を見てとても感動し、好きが高じてサークルに入ったりしているうちに、研修制度を知り応募しました。現在は大学に通いながら研修を受けています。

・大学進学と迷いましたが、日本文化が大好きで、伝統芸能の道があるならと能楽の研修制度にたどり着いて応募しました。能は全く見たことがなかったのですが、すごく格好よくて、今は頑張ってやっていきたいと思っています。

・子どもの頃に子役として演劇の世界にいたのですが、自分には何もないなと思っていて…小学生の頃能に触れる機会があり印象に残っていました。能楽は未知の世界でしたが、研修が始まって、自分がこれからやっていくのかと実感している段階です。

次回、11期生と研修修了者が活躍する

第32回「青翔会」は、10月17日(火)13時より開催されます。

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