「能装束製作」は、2020年(令和2)10月に選定保存技術に選定され、現在、保持者として佐々木洋次氏が認定されているが、今回新たに、能装束製作技術保存会が保存団体として追加認定された(7月21日、文化審議会の答申)。
選定保存技術とは、現在まで保存・継承されてきた文化財を後世に伝えていくため、文化庁が文化財の修理技術やそれに用いられる材料および道具の製作技術などを選定保存技術として選定し、その技を保持している個人または技の保存事業を行なう団体をそれぞれ保持者および保存団体として認定することによって、その保存を図るもの。
選定保存技術「能装束製作」は、重要無形文化財「能楽」の伝承を支える上で、能装束の製作技術を保存することが不可欠にもかかわらず、現在能装束製作に携わる技術者が極めて少なくなっているため、保存の措置を講ずる必要がある、とされている。
能装束製作技術保存会は「能装束製作に不可欠な、多岐にわたる関連技術を保持する技術者を中心に構成され、製作技術の継承と向上を主たる目的として設立された団体。技術者養成のための講習・研修の実施、製作に適した材料の確保やそれに必要な調査研究、製作に関する資料の収集および記録の作成等を主たる事業としている。能装束製作の技術の保存継承のための事業を実施するためにふさわしい団体である」として、今回の認定を受けた。
なお、能楽関連ではすでに選定保存技術として、1976年(昭和51)「能楽大鼓(革)製作」、1995年(平成7)「能楽小鼓(胴・革)製作修理」が選定されている。