ＮＨＫ放送予定　2025年4月

能楽の大成者、観阿弥・世阿弥の流れを汲む、能楽シテ方観世流。観世流の中の各々の「師家」(観世宗家、観世銕之丞家、 梅若六郎家)の許で、同じ時期に「住み込みの内弟子修業」を重ねた縁で、家の垣根を越えた研鑽の場を持ちたいという思いから、平成28(2016)年に、坂口貴信・谷本健吾・川口晃平が立ち上げた「三人の会」。
2025年3月に行われる十周年の節目の公演をお楽しみいただく。

●能「自然居士(じねんこじ)」古式(こしき)

シテ(自然居士)坂口貴信
子方(女兒)安藤継之助
ワキ(人商人)宝生欣哉
アイ(雲居寺門前ノ者)山本則重
笛/竹市 学
小鼓/飯田清一
大鼓/亀井広忠
後見/坂口信男・林宗一郎・安藤貴康
地謡/観世清和・観世喜正・浅見重好・観世三郎太・角幸二郎・清水義也・関根祥丸・杉浦悠一朗

京の都、東山の雲居寺。自然居士の説法の庭に少女が現れ、小袖を寄進して父母の回向を願う。そのとき、二人組の男が現れ、少女を連れ去ってしまう。少女は、この小袖と引き換えに、男たちに身を売ったのだった。居士は少女を救うべく、男たちを追いかけてゆく。やがて居士は琵琶湖岸で追いつき、漕ぎ出した男たちの船に乗り移ると、少女を返せと迫る。 説法の名手である居士の弁舌に、少女の返還を余儀なくされた男たちは、交換条件として芸をして見せろと言う。居士は屈辱ながらも、少女のために舞を舞うなど芸を尽くす。 やがて船は対岸に着き、居士は少女を伴って都へ帰るのだった。
「古式」の小書(特殊演出)によって、観阿弥作曲の詞章が 説法の場面に追加され、世阿弥が手を加える以前の古い形へと詞章が変わる。

番組では、他に能「砧」(シテ・谷本健吾)、能「松山天狗」(シテ・川口晃平)を『三人の会』の坂口貴信・谷本健吾・川口晃平の話とともに紹介する。

【NHKリリースより】