大鼓方葛野流十五世家元の亀井広忠師が、令和5年度第43回伝統文化ポーラ賞優秀賞を受賞した。
師は、大鼓方葛野流で重要無形文化財各個認定(人間国宝)の故亀井忠雄師を父に、歌舞伎囃子田中流前家元・9代目田中佐太郎師を母に持つという邦楽界を牽引する一家に1974年、長男として生まれた。
葛野流流祖は、16世紀に活躍した葛野九郎兵衛定之(かどのくろうひょうえさだゆき)と伝えられ、豊臣秀吉、徳川家康に才能を認められた人物で、徳川秀忠時代に公儀に召し抱えられた。
広忠師は、平成9年に歌舞伎囃子方として活躍する2人の弟、田中傳左衛門師、田中傳次郎師とともに、「三響會」を結成、能楽や歌舞伎囃子の良さを活かし、それぞれの囃子から刺激を受けながら活動をしている。また、平成15年には自身の「広忠の会」を発足して、能楽の世界だけではなく、多種多様な伝統芸能のコラボレーションに取り組むなど、新しい試みにも挑戦し続けている。伝統を守り、技法を受け継いでいることと、能楽の振興活動が認められ、今回の受賞となった。
師はこれまでに平成16年ビクター伝統文化振興財団賞奨励賞、平成19年第14回日本伝統文化奨励賞を受賞している。