平太の類
― 屋島、田村、箙、兼平、頼政、実盛 ―
〈田村〉〈屋島〉〈箙〉を昔からよく「勝修羅三番」という。他はことごとく「負修羅」である。この勝修羅の後シテはすべて平太の面に梨子打烏帽子、法被―半切といういかめしい軍装姿で、勇壮活発に戦いを演じるから、修羅物の強さといったものを存分に発揮する。負修羅ではあるが、〈兼平〉だけは剛勇振りが勝修羅に劣らないから、これも平太の面をかける。この四番は「平太物」といって強い修羅物とされている。
〈頼政〉〈実盛〉の二番はいわゆる老武者である。人物の色彩が乏しい点と、悲壮な奮戦振りにおいて平太物に準ずる。
