曲の解釈と謡い方【二、修羅物】(3)

平太の類

― 屋島、田村、箙、兼平、頼政、実盛 ―

〈田村〉〈屋島〉〈えびら〉を昔からよく「勝修羅(かちしゅら)三番」という。他はことごとく「(まけ)修羅」である。この勝修羅の後シテはすべて平太(へいだ)の面に梨子打烏帽子(なしうちえぼし)法被(はっぴ)半切(はんぎりといういかめしい軍装姿で、勇壮活発に戦いを演じるから、修羅物の強さといったものを存分に発揮する。負修羅ではあるが、〈兼平〉だけは剛勇()りが勝修羅に劣らないから、これも平太の面をかける。この四番は「平太物」といって強い修羅物とされている。

〈頼政〉〈実盛〉の二番はいわゆる(ろう)武者である。人物の色彩が乏しい点と、悲壮な奮戦振りにおいて平太物に準ずる。