曲の解釈と謡い方【一、脇能】(11)


―絵馬―

この類の中でも〈絵馬〉はすこしく特殊な曲である。この曲は流派によっては舞が〔中ノ舞〕でなく〔神舞〕になっている。またこれを女神とせずに男体の神とした流儀もある。前シテが女性でなく尉と姥で出てくる点がやや神舞物らしいが、内容はまるで神舞物とは違う。後場は、シテのほかにツレの天女や力神が出ていろいろな舞をまうという賑やかさである。シテが天照大神(あまてるおおんかみ)ということも計算に入れ、他の曲よりはずっと位を重く荘厳な趣に謡うべきであろう。