曲の解釈と謡い方【一、脇能】(4)


―難波―

この曲はあまり佳曲とは思われぬが、後場でシテのほかにツレの天女が出るのが神舞物としてはすこぶる異常な曲である。現に他流ではシテの舞が〔(がく)〕になっている。つまり神舞物ではなくて後述の楽物である。観世の〔神舞〕については、昔或る観世太夫が、将軍家の能の時に将軍自らが〈富士太鼓〉の〔楽〕をまうので、自分の〈難波〉を〔神舞〕で演じたことに(たん)を発したという話がある。