曲の解釈と謡い方【一、脇能】(7)


―鶴亀―

現在曲ではあり、シテが神ならぬ人間で、しかも直面(ひためん)というのだから、構想も構成もまるで一般の脇能とは違うが、全曲にわたって瑞気あふるる点が初能として演じるのにまことに好適である。のみならず、シテ帝王の威風堂々たる姿は一種の神格さえおびている。

舞が〔楽〕であるから一曲全体に荘重な趣がなければならぬ。決して軽々しく謡うような曲ではない。シテは帝王の位を持して堂々と謡い、地は祝言の心で(しっ)かりした中に渋滞なく謡うべきである。〔楽〕の前の「舞楽(ぶがく)を奏して舞ひ給ふ」は特に心して充分に静めねばならぬ。